鑑定師ブログ

TOKI先生 「易者が語る日常の名言集」27


2019年10月22日
占い師:

27 動き出した二人の時間

洋館

 その日の夜、家に帰りついた玉美氏は風呂に入り、テレビのお笑い番組なんぞを眺めていた。眺めてはいても内容は全く頭に入ってこない。中野駅前の居酒屋で言っていた彼女の言葉が今も耳に残っている。あの後二人は閉店まで中野のショッピングモールを見て回り、一杯飲んで帰えろうと居酒屋へ入っていった。
 彼女は本格的にオカルトの世界を研究したいと言っていた。昔は妖怪とか、神話とか、遺跡とかが好きでいろんな本を読み漁っていたが、だんだんと精神世界のことにも興味がでてきた。超常現象、心霊現象など科学では説明できない事柄や人間の秘められた力、超能力といったスピチュアルなことまで。今はプロの霊能者のもとで修行をしようと思っているそうだ。このことは誰にも話したことはなかった、初めて玉美氏に話すのだと。玉美氏は栄子さんの力になれるならどんなことでも協力はしようと思っている。が、霊能者とは・・・。彼女は本気なのだろうか?宗教には入る気はなく、弟子を募集している霊能者か学校を探している、知っていたら紹介してくれと言っていた。いくら玉美氏がマニアでもそこまでは分からない。霊能者ではないが、先日買った「易」の本に占い学校の案内が載っていたはず。占い師じゃダメなのか?いきなり滝に打たれたりする修行を始めるよりも占い師とかの方がいいんじゃないか。第一占い師の方がいろんな意味で需要がある気がする。玉美氏は調べてみようとパソコンを立ち上げた。しかし、パソコンはウンともスンとも言やがらねぇ。昨日の夜に天にめされたのだ。パソコンを見に行くはずだったのに、見ないで帰ってきてしまった。玉美氏は動かないパソコンの前でそんなことを考えた。

 玉美氏にとって栄子さんの話はまたもやヘビーだったようだ。栄子さんがそこまでのマニアだったとは思っていなかっただろう。だが栄子さんは信頼して玉美氏にこのことを話したのだ。易の世界で表現すれば「功績を収めた者には、その功績が大きくのしかかることもある」とある。玉美氏は何とかしてあげたいと思っているようだが、彼の力ではなかなか難しいようだ。
 読者の人たちにもこんな経験はあると思う。知り合いがダンナのことで悩みを抱えているとか、生まれながらに苦しみを背負って生きてるとか聞かされて何とかしてあげなきゃ、と思ったことが。だが、そんな人の悩み事を解決しようと考える必要はない。なぜなら、相手は、解決してほしいとか、アドバイスが欲しいとか思ってるわけではない。アドバイスしても相手は聞いちゃいねーだろう。次の日には完全に忘れている。下手に動いても大きなお世話でしかない。相手はただ親身になって、自分の気持ちに共感してほしいだけ。前の章で書いたように、人は自分を理解して共感してくれる人が必要だ。「共感してくれる存在がいる」ということは大きなこと。その存在が支えになっているのだ。とある占星術師は「毎日を一人で背負おうとすること自体が、憂欝の原因なんだと思います」と言っていた。とは言え、人生には一人で背負わなければならないことが沢山ある。しかし、そういう自分を理解してくれる人がいるだけで憂鬱はなくなるだろう。






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