鑑定師ブログ

TOKI先生 「易者が語る日常の名言集」23


2019年9月24日
占い師:

23 物事は尽きたままでは終わらない

箱

 動かなくなったパソコンを見つめる玉美氏の頭の中に、生まれてからのできごとが走馬灯のように甦ってきた。人は死ぬとき、今までの人生を思い出すというのは本当だろうか?幼稚園を卒園し、小学校の二、三年生を過ぎたころ、再び玉美氏のケータイが鳴り現実に引き戻された。栄子さんからの返信メールだ。素早い回答ありがとう。参考になりました、とのこと。そして、欲しいパワーストーンがあるからいい店があれば教えてほしいと書いてあった。メールとは便利なものだ。要件は伝わっても、張り裂けそうな心の苦しみは伝わらなくて済む。玉美氏は現実を忘れようと一心不乱にメールを打った。全身全霊をかけて。
 中野に行きつけの店があること、そこには精神世界専門の古本屋があることなど、そして昔のおもちゃやフィギュアなどの店が多いことなんかも伝えた。意外なことに栄子さんはフィギュアのことにも反応を示し、行ってみたいと返信してきた。中野にはパソコンの店もある。今、彼のパソコンは息を引き取った。それを思い出してしまった。玉美氏は堪えきれなくなり、パソコンが壊れたことを彼女に告げた。栄子さんは、だったらパソコン見に行くの付き合うからパワーストーン見に行くの付き合ってほしいと返信してきた。一瞬、画面の文字はマボロシなのかと思った。まさかデートに誘われるとは。玉美氏はさっそく行こうと返信すると、明日の日曜日はどうか?と伝えてきたので即座にOKした。時間と待ち合わせ場所を決めると、玉美氏のカバに踏んづけられたピラニアのような咆哮が部屋中に響きわたった。

 パソコンが壊れたら泣くしかない。諦めろとしか言えない。易の世界で表現すれば「物事は剥ぎとられ、尽きたままでは終わらない。剥ぎとられ、追いつめられればやがて反転し、勢いを取り戻す」とある。それはパソコンに限っての話ではなく、人間関係でも同じことが言える。
 何かを失うということは、何かが得られる前兆なのだ。例えば子供のころ大切にしていたガンダムのプラモデルが壊れたとする。その時は拷問でも受けたように悲しくなるけど、しばらくすればもっといいプラモデルが手に入ったはずだ。以前のガンダムなど比較にならないグレードの高いプラモデルが。人間関係では、引っ越しや進学などで仲の良かった友達と別れなければならないこともあったはず。だけど新しい環境の中で素晴らしい友達との出会いもあったはずだ。「人生とは面白いものです。何か一つを手放したら、それよりずっといいものがやってくるのです」とあるイギリスの小説家が言っていた。その物がなんであれ、大切なものを失った悲しみは一時的なものにすぎない。それに、悲しみが大きかったってことは、それだけ大切にしていたということ。その気持ちがあれば再び取り戻すこともできるだろう。別れた友達だって何年後かに再会して、そこからまた付き合いが始まることもある。諦めなければ、その気持ちを捨てなければそれでいい。物であれ、人間であれ、もう一度取り戻したいという気持ちがあれば、それよりもずっといいものにめぐり合えるのだ。






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