鑑定師ブログ

TOKI先生 「易者が語る日常の名言集」16


2019年8月6日
占い師:

 16 季節の到来とは、時によって生じる変化である

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 玉美氏にとって栄子さんの恋愛経験はあまりにも壮絶な話だった。まるで衝撃映像ベスト100でも見たような気分だ。彼は潔癖症でも堅物でもない、そういう話になれていないだけ。栄子さんだって子供じゃないからそれなりの経験はあると思っていたが、妊娠中絶に不倫だなんて、別世界の話のようだ。店を出て、栄子さんと別れた後も彼女の言葉が頭から離れない。なによりもこんな感覚は初めてで、悲しいのか、苦しいのか、自分の感情が理解できない。その後どうやって家に帰りついたのかも覚えていない。気がついたら部屋で本を抱えて座っていた。例の易占いの本だ。こんなときは占いに頼るのもいいかもしれない。だが、何を占えばいいんだ?彼女の気持ちを知ったところでどうすればいいのか分からない。そもそも自分の気持ちさえ分からないのだ。とりあえず適当に占ってみると「答えを急ぐ必要はない。状況に従うこと」と出た。成り行きに任せろということか?それもいいかもしれない。確かに栄子さんのことは嫌いではない。むしろ付き合いたいとも思う。しかし、レベルが高すぎる。栄子さんほどの女性が本気で好きになってくれるとは思えない。だけど、もし彼女にその気があるのなら、栄子さんと付き合いたいと思う。
 そんなことを考えていたとき、玉美氏のケータイが鳴り出した。栄子さんからのメールだ。「ヘンな話してゴメンね。イヤじゃなかったらまた誘ってください」とのこと。それを見た玉美氏は、悩んでるのがバカらしくなってきた。どんな過去があろうと玉美氏がどうこう言う権利はない。この先どうなるのか分からないので、もう寝ることにした。

 この時点で玉美氏の中では、園子嬢のことは頭にないようだが、「男なんてそんなもんだ」とは言わないでほしい。玉美氏のように女性に免疫がなければ身近にいる親しい女性に好意を持つもの。だが、その女性の過去があまりにも受け入れがたいものだったらどうだろう。栄子さんのように中絶や不倫は今の時代はそんなに珍しいことじゃない。だからと言って、「そうなんだ」と簡単に受け入れられない男もいる。理屈で割り切れるものではない。それは彼女の過去に嫉妬しているから。自分の知らない彼女を知っている人、彼女にそこまで愛された人、そんな人たちがいたことを受け入れられないのだ。だが、考えてみてほしい。その人たちは長い時間をかけて彼女とそういう関係になった。それに比べて今の玉美氏が彼女と知り合ってからの時間があまりにも短い。今は受け入れられなくても、時が流れて彼女との関係も変われば、気持ちも変わっていくだろう。
 易の世界で表現するなら「季節の到来とは時によって生じる変化である。全てのものは時の流れに従わなければならない」とある。人間も同じこと。時間の流れは人の気持ちをも変えていく。それが二人の関係を変えるのだ。
 「過去と他人は変えられないが、未来と自分は変えられる」と有名な精神科医も言っている。すべてを忘れるほど愛しい人と出会ったなら、その人と二人だけの未来を築いていけばいい。その流れた時間の先が、自分が変えた未来なのだから。






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